

寺尾紗穂が日本の戦前音楽に分け入り、その豊潤な物語を浮き彫りにする──
独自の視座で社会と対峙し、多方面へ活躍を広げているシンガー・ソングライター/文筆家の寺尾紗穂が、知られざる民謡、わらべうた、流行曲などの日本の戦前音楽に分け入り、歴史的視点を交え、作詞/作曲家の人生まで掘り下げながら、その豊潤な物語を浮き彫りにする。著者ならではの深い洞察力と文才が冴えわたる、必読の音楽エッセイ集。書籍化を望む声を多数いただいていたミュージック・マガジンの人気連載(2019~2024年)が、書き下ろしを加えて一冊にまとまりました。日本の歌謡曲/音楽史に興味のある方すべてにおすすめします。
◆古謡の世界──「安里屋ユンタ」の変遷/盆歌に残る間引きの記憶 ほか
◆「世界」との出会い──海を渡ったマルフクレコード/ドヴォルザークと賢治 ほか
◆明治から昭和へ──田辺尚雄と「平安朝音楽レコード」/服部良一を育てた大阪 ほか
◆戦争と音楽──満洲国国歌と戦時歌謡/「爆弾位は手で受けよ」 ほか
◆つれづれなるエッセイ──人は太古の昔から集い、歌い踊ってきた/生者と死者 ほか
◆解説=大石始

戦前音楽探訪
寺尾紗穂(著)
定価2200円(本体2000円)
四六判288ページ
2025年7月1日発行
ミュージック・マガジン7月増刊号
[雑誌08480-7]
6月23日発売
- <もくじ>
-
- まえがき
- 古謡の世界
- 移民口説
- 「安里屋ユンタ」の変遷
- 「かっぽれ」の周辺
- 竹富のプライドと「新安里屋ユンタ」
- 山梨の「えぐえぐ節」
- 海を渡った「五木の子守唄」
- 「炭坑節」をめぐって
- 盆歌に残る間引きの記憶
- 「三九郎の歌」
- 「浜子歌」
- お前さんとならば
- 「月ぬ可愛しゃ」
- 性と死の盆歌
- 逗子の「七草なづな」
- 古謡と童謡のはざま
- 「北海盆唄」と卑猥歌
- 「世界」との出会い
- 海を渡ったマルフクレコード
- 中国民謡「太湖船」と軍楽隊
- 「大きな古時計」
- 宮城道雄の朝鮮体験
- 堀内敬三
- 日本版「虹のかなたに」
- ドヴォルザークと賢治
- 明治から昭和へ
- 鳥取春陽
- 女工たちの歌
- 中山晋平の土着性
- ハーモニカの隆盛
- 田辺尚雄と『平安朝音楽レコード』
- 服部良一を育てた大阪
- 小唄勝太郎
- 浅草オペラ
- 武井守成
- 読経のSPレコード
- 戦争と音楽
- 「隣組」
- 長谷川一郎
- 「象徴」になった平成天皇の歌
- 好戦歌にも発展した「梅が枝節」
- 岡本一平の「翼賛親子」
- 満洲国国歌と戦時歌謡
- 音楽に罪はないのか──「君が代」と「海道東征」
- 「支那の花嫁」
- 灰田勝彦の歌
- 永田絃次郎の玄海の歌
- 「李さん王さん」
- 「爆弾位は手で受けよ」
- 特攻隊が作った替え歌
- 「めんこい仔馬」
- 幻の花蓮港音頭
- 村の常会とSPレコード
- 音楽が利用されるとき
- 桃太郎とラジオ体操
- 「南から南から」
- 上野駅と東北
- 北原白秋のナチス礼賛
- 時雨音羽の「チンライ節」
- つれづれなるエッセイ
- 人は太古の昔から集い、歌い踊ってきた
- 「愛してる」と歌うこと
- 「聖者の行進」
- 『この世界の片隅に』
- あきれたぼういず
- 『椿の海の記』
- 忘れられた歌姫
- 二人の女性作曲家
- 明治のオルガニスト
- 生者と死者
- 著作権の野蛮
- 解説(大石始)